宮城県塩竈市のホームセンターサンデーの建設現場で発生した、始業前のクレーン転倒事故。
なぜ倒れたのかを素人なりに確認です。
吊れない物を吊ったの?
そんなことはないんです。吊れない物を吊ると、自動で止まるそうです。
何トン吊れるの?
まずはこちらをご覧下さい。
クレーン全長10メートル。その1.5倍くらい。よって、クレーンの真ん中からだいたい15mくらい。(高さは10よりもっと低いかも)
さらに、クレーンの中央から2.9mくらい離れているので、実質18m。
少なく見積もって15mだとしてみます。
ただし、アウトリガーは、最小の4.6m、最大の7.6mで見てみます。
長さは2段が伸びてて3段っていうんですか?24mの設定だそうです。
最大 8.4トン。フックを引いたら8トンくらい。12mの13トンくらいなら上がる?
最小 2.75トン。フックを引いたら2トンちょっと。。絶対に上がらない。
もし、アウトリガー最大なら半径が12mくらいなら上がるって事になります。
15mが大きすぎ?写真から大雑把すぎ?ということで、防犯カメラの動画の角度から計算します。ブームは24mにcos55度で14mです。写真と計算結果はこちら。
合計で55度。
計算すると、13.7m。約14m。
先ほどの15mもそんなに大きな差はないですね。
つまり、改造でもして100%を超えて吊っていたか、実際は12mくらいでギリギリ吊れていたか。
そして、1mか2m倒すか、旋回で荷物の重さが遠心力で14m相当くらいになれば、転倒する可能性が出てきます。
アウトリガーが制限の要素として組み込まれていたら、ですよ。
旋回速度は?
公表されている動画が短すぎて分かりません。
というより、止まっている時に倒れているようにさえ見えます。
なので、旋回が速すぎて外に引っ張られて倒れた、とは言えないです。
アウトリガー、最大には出てなかった?
こちらが動画のワンカット。
完全に転倒したあとで、クレーンが落ち込みます。
- アウトリガーが地面に刺さった
- アウトリガーが縮んだ
- 手前(トラック後方)は浮いてて、地面に落下した。前のアウトリガー一本で転倒した。
- ブームが地面についてクレーンが回転した。
の3種。現実的にどれかと言われれば、4っぽいです。動画を見た感じ、です。
そして、どこを軸に回転しているか。
断言できないです。
だけど、クレーンの本体がアウトリガー最大で回っているようにも見えます。
勝手なイメージですが、
- アウトリガーは最大
- 転倒開始
- 転倒終了
- ブームに押されてクレーンが回転
- アウトリガーが地面に刺さる+縮む
と勝手な妄想。ブームが84度まで立てられるので、事故した時にどれくらいになっているか。84度なら上方向にはフリー、あくまで油圧で持ち上げているだけ、ということも考えられます。カタログには書いてないので、そう想像するしかないです。84度で24mだと、2.5m。吊っている時点でそんな角度はあり得ませんから、伸びてるはずです。
こちらは、地面に埋もれた左のアウトリガーのどの長さの時に転倒して回転したか、をイメージしたものです。円の中心を回っていると考えます。
右端は右のアウトリガーがあったはずの場所を通過。
上は転倒後のアウトリガーの先端
隠れちゃいましたが、円の中心は地面の中。
そして、地面から回っているとするとアウトリガーの先端は右の設置されていた位置より手前になります。
つまり、このアウトリガーの位置よりも高い位置に周り、アウトリガーがある程度埋まったか、アウトリガーが縮んだ可能性があります。もちろん、左のアウトリガーの出ていた長さ、縮んだ長さは不明です。
このあと、5.のアウトリガーが刺さるかどうか。
アウトリガーは地面に刺さるか?
踏み固められた地耐力とします。
http://www2.ashitech.ac.jp/arch/osakabe/semi/foundation/low/r93k1113.html
粘土質地盤として、20~100kN/㎡と仮定します。
アウトリガー1本の横から見た面積は、
根本的に、アウトリガーのそのものの足元の寸法、470×290で0.1363m2。
モーメントの計算するのめんどくさいなぁw
おおざっぱに言うと、こちらのサイトの310度のP4、300.8kN。
これと0.1363m2を組み合わせると、300÷0.14で2143kN/m2。
20~100kN/㎡と比べると20倍。
…。
つまり、20~100倍の広さがないと地面が沈む。
0.1363m2の20倍から100倍ということは、0.14×20と100で、2.8m2か、14m2。
かなり広めです。
なので、アウトリガーが角材からハズレると沈みます。
転倒したあとだと、図面を見ながらおおざっぱに300×500mmとして、0.15m2。
300×伸ばした1.2mとしても、0.36m2。そんなに大きく変わりません。
900×900のアルミ板が付いているそうですが、これでも0.81m2。沈みそう…。
あくまでこれは最大なので、もしかすると全然違うかも知れません。900×900mmだと2.8m2と0.81m2なので近いと言えなくもないです。すくなくとも0.14m2と比べれば広いので大丈夫かも。
なぜ駐車場側を回した?
【人払い】という基本動作。
クレーンを動かす時、クレーンが吊っている荷物の下には入らない、人は近寄らせない、という基本があります。万が一、荷物が落ちた時のための安全策。
ところが、このときは荷物を車の上を通しています。そしてその近くには人が乗っている車があり、普通の現場ではあり得ない作業をやっています。
アプリで角度を測ったのですが、87度。つまり、開ききっています。こんな状態では連れないので、動画で撮影された55度がリアルな数字だと思います。
そして、荷物の落下位置。駐車場の上を通すのもありえないことですが、右端の黒い車が死亡事故の車。人がいるこんな近くを10トンの荷物を吊って回すというのもあり得ないと思います。
そこで、なんで反対側を回さなかったのか?
クレーンが倒れる前は、恐らく人がいる辺りがクレーンの中心。そこで足場の上の白い部分の中央から右に回そうとすると、建物に接触します。もちろん、ブームを立てて建物との接触を回避することもできますが、そのためには荷物にロープを付けて、荷物が回ったり揺れたりしないようにしなければなりません。
しかし、そんな人はいなかった、建物側を回すことができなかったのではないでしょうか。
仕方なく、駐車エリアを回すことになった。少なくとも荷物が落下するとは思わないし、クレーンが倒れるなんて思ってないから。
24mのブームを55度で、10mつり上げていたとします。
荷物は車の2倍程度なので、長さ10m程度。つまり、クレーンのワイヤーから5mはブームに接触の可能性。
三角関数で…。
計算したところ、ワイヤーからブームまで7m。当たらないギリギリ。2m揺れたら当たりますが、その時に風がなかったとしたら現実的。
つまり、パッと吊って、パッと回したとしたら、クレーンと荷物が【介錯ロープ無しで】当たらない、持ち上げられる重さの限界ギリギリで回したことになります。
介錯ロープありでブームに接触しないように回すには人が何人も必要です。10トンの長いものを運搬するとなると、グルングルン回りかねないですから。両端にロープを付けて、2,3人で引っ張ってバランスを取りながら…ってやりたくなかったのかも知れませんし、絶対にぶつからない55度、10mで吊ってればOK、って思ったのかも知れません。
ということで、作業員が4~6人もいらない駐車場側を回した、と短絡的に思いついあのも現場の判断。あり得ると思います。
右下の足場の上から右上の機械を通過して、左下のトラックに載せる。
普通じゃ無いと思います。
何が言いたい?
明らかになっていないデータ、情報があるので、決めつけることはできないけど、出て欲しい情報はこんな感じかです。
- アウトリガーは最大だった?
- アウトリガーは埋もれて縮んだ?
- 旋回していた時の角度=旋回半径は?
- 制限は80?100?違法改造?
- 介錯ロープはあったのか?
ふと気になったのが、アウトリガーの出方。
前前が広がっているのに、後の右は短い?
前後はどちらも同じ長さだけ伸びる。
けど、後ろは短い。
もしかすると、前が伸びたのかも知れないけど、非現実的。
ということは、うしろが6600くらいしか出てない?
5400って感じではないので。
そうなると、6600が有効になるので、15mだと6.5m。なので、根本的に吊れません。
なので、素人には何が起きたのか分かりません。
恐らく
- ギリギリ吊れた
- ギリギリ回った
- 仮に、11トン吊れる13mで回していたとしたら、後方のアウトリガーが6.5mだとして、それが効いてくる角度に入ってきたとしたら、8.50トンに。つまり、吊れなくなります。この吊れなくなった瞬間に自動停止したとしても、荷物の勢いで止まりきれずに転倒。
- 黒枠の外なので、クレーンが壊れるんじゃなく、転倒します。
- 荷物を吊っている位置がが高いから、荷物が着陸するまで転倒。
- 続いて、クレーンが着地。
もしくは
- ギリギリ吊れた
- ギリギリ回った
- 旋回したらちょっと地面が凹んだ
- 7mに対して24mなので、3.4倍。上のように2m程度外回りになれば吊れる重さが1トン2トン変わる。つまり、アウトリガーで1m沈み込めば、上では3m外に動きます。50センチでも1.5m。
- 仮に11トン吊れる13mで回していたとしたら、アウトリガーが7.5mのままだとしても、15mの8.40トンに。つまり、吊れなくなります。1m外になっただけでも9.65トン。フックを除いてですが10トンを切ります。
- 黒枠の外なので、クレーンが壊れるんじゃなく、転倒します。
という、2つの原因、流れが考えられます。
プロから見たら素人の戯れ言かもしれませんが、転倒は極めてギリギリのラインで発生したし、何か1つでも安全方向に作業していれば、今回の事故は起きていないような気がします。
対策案1 建物側に回す
- クレーンは足場に横付け
- トラックはクレーンを挟んで足場の反対側
- 介錯ロープを付ける
- 荷物が持ち上がったら、ブームを立てる
- 建物に水平になるようにしたまま旋回
- トラック側に回ったら、トラックに乗せるようにロープで回す
対策案2 トラックを駐車場の位置に配置
- 前日に連絡し、駐車場は反対側にする。反対側の機械を下ろした直後ということであれば、その都度車を移動させる
- トラックは駐車場の位置に配置
- 今回と同じように運ぶ
素人の案でした。
2019/12/25 追記
旋回はフリーという機能があって、回転させる部分をロックさせない方法があるそうです。その場合、荷物が風に揺られてクレーンが回転してしまうそうです。
もし色んな機能が全てオフ、ロックも効かない状況が発生していたとしたら、荷物を上げた時点で予期せぬ左旋回をし、気づかずにドンドン荷物が回って荷物が横まで回って、限界を超えて転倒した可能性も。ただ、限界を超えると全体がロックかかるそうなので、可能性の中では低い部類になりそうです。
実は、このときの風速は最大で4.8m/s、平均で2.9m。風向きは北西。なんと、風下が南東。つまり、風で回されてぴったり止まったとしたら、フリーで回った説もありえるんです。
三角のエリアが今回の土地。
上が北。
クレーンに対して、真横方向に荷物が落ちてる。クレーンのブームがほぼ南東に向いてます。
つまり、風はそれほど強くないけど、間違ったのかクレーンが故障したのか、フリーで回っちゃって(故意に回したわけじゃなくて、風で勝手に回った)、自動停止も効かずに回りきって、アウトリガーを出し切ってない可能性が高い弱い左に向いちゃったんじゃないかな?
あくまで、素人の妄想ですが。
bokeboke