勤務先があまりにブラックなので、労働基準法違反申告書を労働基準監督署に提出してきました。
ブラック企業とは、個人的には『長時間労働を黙認している』企業だと思っていました。もちろん、残業代の未払いも含めて。
でも、今回はそんな重い思いが通用せず、その時は労働基準監督署の職員さんから軽くあしらわれた感じでした。
その流れをメモします。
きっかけ
きっかけは、2017年3月に勤務中に事故を起こして労働災害を発生させたことです。今までに事故は起こしても、自分が労働災害の申請をすることはありませんでした。といいつつ、一緒に働いている他社の人が労災で大けがをしたのにうちの会社が責任を取らなかったことがあって、さらに、骨折血まみれの私に対して、なぜ労災にしようとするのか?と迫ってきた上司。それも深層心理にあったのかも。
その2017年3月は異常に残業をしていて、心身がフラフラ、ボロボロ、いつ自殺してもいいくらいのグッタリ具合。帰宅途中、何もしなくても歩きながらボロボロ泣いていたりしていました。
改善してくれれば労働基準監督署にいくまでもないのですが、経営陣から情に訴える感じで『勘弁してくれ、なんとか頑張ってくれ』という回答しか得られなかったので、行動に移しました。
過去2年間の勤務記録
今回、過去2年間の勤務記録をエクセルでとりまとめて、改めて驚きました。
残業時間
2016年度 残業約600時間
2017年度 残業約400時間
世の中でよく見る残業時間は月に100時間が延々と続く、なんてのばっかり。そういう人からすれば半分ほど。だから屁でもない。弱いな、なんて言われるかもしれません。でも、人によって限界は違います。私はもう限界を超えていました。
上司への上申
2017年3月の事故後、さすがに限界を感じたので、これ以上忙しいと仕事が片付かないことを伝えました。ところが、『まーなんとかやってくれ』という回答。
さらに今年も同じく上申しましたが、『もうちょっと我慢してくれ』というものでした。残念ながら、社員を真っ当に雇用しようという感じではありませんでした。
もちろん、会社の効率化についての提案や販売に対する提案もしていますが、経営陣からの答えは『中間管理職が上申しない』というお粗末な答え。一般職員から見れば、職務放棄です。
労働基準監督署への申告と調査の依頼
改善が見込めないため、申告の準備を始めました。実際に勤務時間の記録を取り始めたのは、過労が始まった2016年初旬から。2015年から多忙を極めていましたが、一時的なものだろうって高をくくっていました。しかし忙しさが収まらない、上司からの助けもなし。このままだと残業時間がオーバーすると感じ、記録を取り始めました。
今回、上に書いた残業時間はそれをまとめたものです。この数字を出したわけではありませんが、会社の総務に『勤務時間が以上に長いのでなんとかしてくれませんか?』と尋ねたところ、『勤務記録にはそんなことにはなっていない。ん~。』という、あからさまにスルーしたい回答しかなく、もちろん改善もなく。
ちなみに、残業代については今回は請求しないことにしました。とにかく対応をして勤務時間を短くなるように協力してほしい、という意味から、長時間残業についてのみ是正するよう申告することにしました。
ちなみに×2、残業代は月25時間分しか払われていません。1年400時間だと、1ヶ月33時間=毎月8時間分、600時間だと毎月12時間分が支払われていないことになります。仮に時給1000円だとして、毎月8000円ですけどそんなことより残業がなくなるようにしてくれ!という思いです。
話を戻して、申告書の作成です。
いろいろな書式、フォーム、書き方が紹介されています。ここから該当するものを抜粋して作成しました。
ちなみに、残業について規定している36協定についてはこちらです。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040324-4.pdf
法律の原本はこちらを参考にしました。
労働基準監督署の対応
受付で、『申告です』と告げましたが、『相談ですね』と返される、ネットで見かけるそのままの対応をされました。その人はあくまで受付の人なので、改めて『相談ではなく申告なので、申告でお願いします』と食い下がりましたがダメでした。
結局、相談員に回されて話をすることとなりました。
相談員は一度退職されたのかな、と見受けられる方でした。あくまで相談員なので、申告に来たのは分かるけどどういうお話かお聞きします、というものでした。しかし、相談員さんが限界を感じたのか、一応、正規の職員さんらしき人に引き継がれました。
職員さんらしき方は申告書に一通り目を通し、なるほど分かりましたとの対応でした。36協定のコピーも持参していたので、残業時間が長いのは納得しましたとのこと。ここから詳細を詰めることとなると思ったのですが、最終的には簡単な結論に達します。
残業は、1日15時間、1ヶ月42時間、1年の上限320時間の法律があり、36協定も同じ。これはオーバーしてませんよね?法律もこれなのでね。
という職員さんの指摘。
事業外労働(会社の外で仕事をした場合)だと、9時間勤務、つまり毎回1時間残業をしたことにします、という内容の36協定。だったら、1ヶ月42時間くらいじゃないんですか?と突っ込まれました。
42時間を超えたのは、2016年度で9回、2017年度で4回。明らかにオーバーです。さらに、年間の320時間オーバーなので、明らかにオーバーです。
さらに職員さんは指摘します。
特別条項付協定がありますけどいかがですか?
いや、いかがですか、じゃなくて判定してくださいよ、プロなんだから…と思いつつ、自分で確認します。
特別条項付って、上の厚生労働省のpdfの時間外労働についての書類の最後にありますけど、通常の残業に加え、さらに長時間労働をOKにする特別枠があるんです。但し書きとして。うちの会社だと、80時間が6ヶ月まで、年間720時間まで延長可能になってます。さらに残業代は25%アップ、もちろん支払われていません。
さて、その条項には、
あらかじめ労働者代表と協議の上書面で通知し
と書かれていました。この書面、私には来ていません。私は代表をしていたので来ていれば知っていますし、上に書いた総務の方が『時間はオーバーしていない』という発言とも合致します。
労働基準監督署の職員さんは調査官ではないそうです。なので、36協定を持って行っては調査官という方と何度か打ち合わせをしていました。
結果、『書面での通知が行われていない瑕疵』だそうです。
瑕疵って、本来あるべき機能・
これってつまり、『時間オーバーしてるんだから、書面を作って長時間労働させろよ』ってことです。
法律でそうなってるんだから、です。
つまり、『長い時間働かせているのはNG』ではなく、『長時間労働が可能な協定なのに守ってない。書類を作って働かせろ』というものです。
法律がそうなってるんだし、協定がそうなってるんだからそうするしかない、という労働基準監督署の回答。納得です。法律を行使するのが労働基準監督署なんだから、間違っているところは是正の調査に入るけど、できることはそこまでです、というところ。
こうなると、いくら会社が『うちは一流です』なんてまともな会社だと自称しても反抗するしかありません。次回の36協定には反対し、改善を求めるしかありません。
もちろん、今の『25時間分の残業代はもらうけど働かないよ』というのが従業員としては一番楽なボッタクリですが、そんなことはしません。2015(労働時間は測定していないけど、たぶんオーバー),2016年度とガチで仕事を片付けるためにフル稼働してきましたが、だからといって今後サボるつもりは全くありません。
『社外では9時間働くし、社内では8時間働きます』という、ごくごく当たり前のことをやります。
間に合わない仕事については上司に上申し、対応策を考えます。間に合わないときはもう会社の責任です。経営者がそういう考えなのですから。
おまけ
相談で終わらせたい職員さん。『相談ではない、申告だと?』『はい』
このやりとり、何回しただろうw
『相談してからでもいいんじゃないんですか?』
『相談は厚労省のHPからしましたけど、何も起きなかったから来ました』
残業時間、嘘だろ?という指摘はありませんでした。指摘されればGPSの記録も出そうか、会社のPCの稼働記録を出そうかなど準備をしましたけど必要ありませんでした。
また、全国展開している会社なので、他の事業所でも同じ状態の人たちがいるので調査してほしいと頼みましたがNGでした。あくまで『その地域の対応』に限られるのだそうです。
匿名でお願いしましたが、人数が少ないのでバレますよ、とのご指摘。
はい、覚悟の上です。
今すぐ調査に入るわけではないですが、調査に入れば結果はお伝えします。
お願いします。
残業代の請求は2年ですけど?
今回は時間だけです。残業代は今回はしません。
こちらからは、上司からタイムカードを押してから仕事をしろと指示があったことも伝えました。
裁量労働と最低賃金
高度プロフェッショナル、裁量労働が最低賃金を下回るって話題ですね。うちの会社は日本の古典的な一般的な会社だと思いますけど、
- 25時間分の残業代は先払い
- ただし、残業は42時間まで可能
という脱法行為で、たぶん私以外の人たちはとんでもない残業時間で働いているそうなんですけど、25時間分を超える17時間分の残業代でさえ払っていません。労働基準法をベースに社内規定を決める社労士さんがいるって見たことがあります。下のサイトはそれじゃないけど、似たようなものですね。
一般的な会社でさえこのような状況ですし、自称、一流企業がこのようなお粗末な状況です。中小企業は『法律で書いているんだから、それで最低限のことさえやっていればいい』ってなります。
つまり、中小企業がネットに書かれているような高プロの悪用をすぐに採用しそうです。うちの会社なんか、一番にやりそう。
こういった制度が事前に知らせされて欠陥が指摘されていますが、それでも自民党が強行採決しそうです。労働基準監督署が担当地区でのみ、その法律と協定と社内規則でのみ対応します、となると、上のリンクのように『法律で決まっているから』『協定で決まっているから』で終わることになります。これを阻止するには、協定を労働者側に有利なものに変えるしかありません。
自民党と支持者と今支払われている年金
自民党の支持者は、経営者の集まり、高齢者、若者なのは有名ですよね。
年金をまかなうには、働いている人がお金を納めなきゃいけない。
お金を納めなきゃいけないから働かせなきゃいけない。
けど、労働者のコストが上がれば国内での生活費がアップする。
国内での生活費がアップすれば高齢者は生活がきつくなる。
つまり、働けるヤツから巻き上げて、60才以上、特に年金をもらっている人たちに再分配。
30代以下は高プロなんてないだろうし時間だけなら永遠に働いちゃって1000万円支払わないといけないかもしれないから経営者も適用するには二の足を踏むだろうし、経済の回らない具合への対応ができているから、ボロが出る2017年の野党より手堅い自民党。
といったところでしょうか。そして、転職や退職をしたくてもできない60代~40代はこの奴隷制度に反対したところで人口分布的にも対応ができません。
つまり、2018年の高齢者がいなくなる頃にやっと高プロや裁量労働をなくそうって人が出てくるって事です。今の40,50,60代が60,70,80代になる20~30年後。
その頃、
さいごに
結局、調査に入ったところで
- 残業オーバーさせるんなら書面作れっていう指導(残業代は申告なかったから言わないけどね、という指導)
- bokebokeが犯人ってバレるので、経営者や中間管理職の上司からの視線や態度が突き刺さる
という、私にはめんどくさいことになりますが、社内で『ちゃんと仕事の管理をしろ』っていう鶴の一声があることを祈っています。
それでもなかったら、もう一回、今度は残業代で申告しなくっちゃ、ですね。
追加
36協定の代表者は過半数に選ばれているか?
選ばれてない。過半数を確認してるか?
→確認してない。
→しかし、管理者と代表者が了解してれば過半数なので、違法、協定の無効とは言えない。
内容は協議して決めているか?
協議はなく決まっている。
内容が知らされていないで判子を押してる、電話で判子を押す許可を取ってるだけ。
会社が時間がオーバーしてない認識なら、特別条項は適用できない→今回は会社が勤務時間を把握してないので特別条項の適用は必要なく、今後手順を踏むように指導するのは難しい。
つまり、勤務時間を把握できていない、協定と実態が隔離しているのが問題なので指摘できる。
事業所内ではタイムカードを使ってるのに8時間のみなしにしているのはおかしい。指導できます。→逆を言えば、指導が入ればタイムカードが撤廃される可能性が高い。
事業所外での行動は、事前、事後に報告して上司が理解しているか?
報告してるのでどこに行ってるかは知ってる。ただし、、早く終わることもあるので厳密には理解していない。→監督員さんはここについては、うーん?といった感じでした。
みなし労働は、○時間働いたからといって、36協定の時間をオーバーしたからどうということはできない。そこがこの法律の話をするときにまっすぐ行かない理由、とのこと。
ただし、場外は時間の管理が難しいので指導も難しい。
また、36協定の時間と実情の解離は指摘できる。
ただし、会社によっては指摘に対して、『なにもしません』ということろもある。たいていは役所に言われるのが嫌だから何かする。
今回の件、リスクとリターンを考えた場合になんとも言えない状況(明確な違法な点がない)だがいいですか?
という監督員の最終確認がありましたが、いいです、とキチンと回答しました。
最終、どういう動きに?
- 36協定の内容の協議が不明確なので、労働者と詰めることを指導する。
- 代表者の選定が怪しいが、過半数なら仕方ない。選んでないなら指導する。
- 協定の時間と実態の隔離があるので協議が必要なのではないか?
- 場内の勤務時間はタイムカードで記録してるのに、みなしとして8時間にしていて不適切なので改善の指導をする。
- ただし、場外での勤務時間の把握は難しいから時間については協議が必要なのではないか?指導は難しい。
- パソコンの持ち帰りでの仕事は場外になるのでなんとも言えない。
- タイムカードを早く押して仕事する指示を上司が出してるのも指導できるか分からない。
- 裁判に持っていけば明らかに残業代を請求できるが、36協定の明確な違反とは言いがたい。
- みなし労働は何時間残業しようが法的には問題なし。たとえ現実と協定が解離していても法的にはOK。なので、タイムカードの早押しについては、なぜ命令が下ったのか疑問。早く押させる理由がない。
- 毎日3時間、1ヶ月で60時間の残業は36協定に違反するけど、みなしだから問題なし。というけど、42時間を越えるときには特別条項を締結しないといけない。かといって会社は場外の残業時間を把握できない。つまり、特別条項はどうやってもスタートとしない。スタートするのは、場内で42時間、つまり、毎日2時間半くらい残業を続けた場合に限られる。この時は特別条項が必要になるけどそんなことはほぼありえない。ただし、以前、タイムカードを早く押せ、という命令があったことを考えると、1日に3時間、14日間残業した場合には特別条項にひっかかる。なるほど、そういうことか。ありえなくもない。
こんなところでした。
このお話からも、みなし勤務システムの矛盾があります。
パソコンを持ち帰ると場外。しかし勤務は8時間の場内の扱い。
そんなバカな?ですけど、これが法律の抜け道のようです。
取り合ってくれただけまともで助かった、なのか、まだまだ行けるぞ!なのか分かりません。でも、何かしら会社が【労働者がより良い環境で働けるように改善】してくれることを祈るばかりです。
残念ながら、是正勧告ではなく指導ですけど、心を入れ換えてほしいものです。
個人的な予想は、
合法の範囲で無限サービス残業できる協定にする
です。
bokeboke