昔からある議論。
加速が速いのは、トルクが大きい方か、トルクが小さくても馬力(パワー)がある方か?
この議論の中で、明確な数式を表して
人がどう考えようと、地球上では絶対に【◯◯】だ!
って言い切れる人がいなかったのが残念です。
具体的に正解を示しているのに、それを否定する人が具体的に反論しない。
そういうことで、改めて議論に終止符を打つため(個人的な終止符ですが)、改めて、加速が速いほうをご紹介します。
何が原因で加速が速い?
当然なんですけど、色んな条件は同じにして、パワーが大きい方が加速するか、トルクが大きい方が加速するか、という比較です。あくまでも理想状態なので、その点はご容赦ください。現実に近づける内容も検討しますので、そちらはまた改めてご紹介しますね。
条件
- 車の質量は同じ
- 空気抵抗はなし
- 車の内部抵抗もなし
- 変速機は理想的CVTとし、2種類のエンジンは両方とも理想的とする一定回転数で回り続ける
- タイヤのスリップはなし
- エンジンの条件は以下のとおり。
- 1台目は、トルク型。
- 2台目は、パワー型。
ということで、どちらが加速が速いか確認します。
加速とは?
加速とは、加速度です。1秒当たり、どれくらいスピードが速くなるか?
加速度の分かりやすいページがこちらです。
加速度は、エネルギーを元に計算できます。
1秒に与えられるエネルギーが大きいほど、早く加速します。
エネルギーとは、パワー。馬力です。
運動エネルギーが単位を出しやすいので、書きます。
1/2mv2
単位を書くと、
kg・m^2・/s^2
これを書き直すと
kg・m (ここまでがトルク)・ m/s^2(加速度)
つまり、
一定のトルクをかけつつ、どれくらいの加速をするか?
または、
一定の加速をしつつ、どれくらいのトルクをかけられるか?
つまり、トルクだけ大きくても速度にならないので、加速しません。
壁を押すのと同じで、作用反作用で力をかけてもタイヤが回らなければ速さになりません。
つまり、パワーが加速の原点です。
どちらかだけが大きくても、パワー(エネルギー)は大きくなりません。両方大きくないといけません。
例えば、
kg・m (ここまでがトルク)・ m/s^2(加速度)
トルクが10、加速度が10とすれば、かけ算だけすると100です。大雑把にエネルギーが100とします。
トルクが大きければ加速がすごい!ということで、トルクが100とすれば、同じエネルギーを持っていても、加速度は1。加速度10に比べると、全然加速しません。
これは、同じ質量(重さ)に固定しての計算です。なので、純粋にトルクが大きいだけで速いわけでは無くて、エンジンが発生するエネルギー=パワーが大きいほど加速します。
ガソリンエンジンの場合、多分、すべてのエンジンが山なりのエンジン曲線を描きます。エンジンパワーがだんだん上がっていって、回転数が上がりきる頃に落ち始めます。
頂点近辺を利用することで車に与えるエネルギーを最大にして、加速していくのが一番加速がよい状態です。そのために、レース車両ではギア比が近く、エンジンパワーを使いやすくしています。もちろん、コースのコーナーにギア比を合わせることもするでしょうけど。
逆に、CVTを使えば、いつもフルパワーで加速するので、ロスが大きければ加速で損をする部分が出ますが、3速、4速みたいなギアが少ない車だと、山なりのエンジン曲線の低いところ、エンジンパワーが出ないところも使うから、CVTのロスのほうが少なくて、MTよりも速く加速するかもしれません。
トルクが大きくて運転がしやすい、という話は嘘です。
パワーが一定なので運転がしやすい、が本当の話です。
物理を知らない、理解できない人には意味不明かもしれませんが、公式がすべてを語っています。信じてやってください。そういうものなんです。
bokeboke